「剣魂44号」平成10年度・・・「ルール」と「規則」

2013年07月29日 22:27

「ルール」と「規則」

サッカーに限らず、テレビ放映されるスポーツ番組を、自分自身であれこれ想いをいたしながら観戦するのが、私の一番安らぐ時間である。
先のワールドカップでの日本代表の戦いでは、もどかしさを感じながらも、世界最高の水準でプレーする、その完成度の高さに感動を覚えた。

それでも見終えて後、心のどこかに割り切れないものが残っているのである。さて何故だろう。

何なかを探してみるとそれは警告・退場に及ぶ反則のプレーであることに思い当たった。サッカーでは、一流のプレーヤーは反則すれすれのプレーを見事にこなせる技術を持っていることも一つの条件とさえ言われている。否、このことはサッカーだけに限らず、他のどのスポーツにも言えることである。如何に審判が見えないところで反則を犯し、さらには審判が判断に迷うほど巧にプレーするかである。

 「ルール」すれすれのプレー。または限りなく「ルール」に近いところで技術の高度を追求していくのがスポーツの競技ということもできよう。
 一方、剣道では、限りなく「規則」から遠ざかったところで試合が展開されていくことに、一流選手の求めるところがあるように思う。両者共に勝利に対して、あくなき追求は同じである。なのに、その精神・過程が両極に分かれていくことに興味を覚えた。「スポーツマンシップ」と「武道精神」の違いというとこなのであろうか。
 私は今、高校生の指導に携わっている。その高校生に、試合中の約束ごとをいくつか課している。その一つは、相手が倒れた時に自分から打突しないことである。「規則」上でも認められているに拘らず、「武道精神」を感じて欲しい。体得して欲しい願いから他ならない。
 サッカーには「子供を大人にする」「大人を紳士にする」という格言もある。
 剣道も負けないよう、息の長い、奥の深い歩みを一歩ずつ続けていきたい。