剣魂55号 平成21年度・・・「全国中学校・高等学校(部活動)指導者研修会」

2013年08月04日 10:13

剣魂55号 平成21年度・・・「全国中学校・高等学校(部活動)指導者研修会」

 

1月4日から6日まで毎年のことではあるが、千葉県勝浦市の日本武道館研修センターに於いて表記の研修会が開催されており、今年で33回を数える。

過去、私も研修生として参加したことがあるが、ここ十数年来講師として参加させていただいている。全国各都道府県から八段研修者8名を始め、高校指導者85名。中学指導者58名。合計143名の参加者が集まった。講師は17名の八段、豪華な顔ぶれが揃っている。研修内容は基本動作から木刀による剣道基本技稽古法、日本剣道形、指導法、審判法、更には打ち込み・掛かり稽古にいたるまで、しっかり研修を深め、剣道の専門的な知識と技術の充実を図り、指導者としての資質向上を目指した研修会であった。

開校式に続いて教養講座として特別講師をお願いした講義が行われるが、今年の講演は「武士道シックスティーン」の著者である誉田哲也(ホンダテツヤ)氏であり、非常に興味深い内容を拝聴することができた。

「武士道シックスティーン」を書こう(書ける)というきっかけになった出来事は、自分の子どもの剣道大会の応援に出かけ、会場のロビーのソファーに腰掛けて寛いでいたときに、目の前の自動販売機からアイスクリームを取り出した二人の中学生女子剣士が、何とも明るく楽しく会話しながら立ち去った後ろ姿を見たときに閃いたそうである。剣道を通してあくまでも勝負にこだわる姿と自己成長の喜びを追い求める姿の対立を軸に展開する内容となっている。

氏が考える武道とスポーツの違いとして一つとして挙げられたことは、スポーツではルールを上手く活用し、ルールぎりぎりのところでプレーする技術を求めることが要求されるが、武道については、規則(禁止事項)から遠く離れた技の追求を心掛ける精神構築があるのではないかと感じているそうである。

共感を覚え、心強かった。

毎朝6時から1時間の朝の自由稽古が組入れられているが、意欲溢れる剣修生は前日の夜中から道場に来て、お目当ての先生に一本稽古をお願いしたいと腕をぶして待っている。6時前におもむろに道場に入ると、私の目の前には既に15~16人の列ができている。こんなときいつも感じるのは、掛かる側の気持ちを察すると絶対に手抜きは出来ない。何人並んでいようが、どんな難剣であろうが、私自身の体調がどうであろうが、対峙する一人一人に全精力を傾け、誠意を持って「瞬間善処」の覚悟を持って臨まなければ、相手に対して申し訳ないという気持ちにさせられる。