剣魂57号 平成23年度・・・「中学校武道(剣道)必修導入について」

2013年08月04日 11:36

剣魂57号 平成23年度・・・「中学校武道(剣道)必修導入について」

 

今年の4月から、全国すべての中学校において、武道(剣道)授業が必修として導入される事になっていることは承知の通りである。

「簡単に説明しますと、体育授業で(体育の担当教諭が指導)1・2年生の時に必ず武道(柔道・剣道・杖道・居合道・合気道・相撲など)を男女共通で履修させて下さい。1年間で大体10時間程度となあります。」と言うことなのである。

我々剣道関係者にとっても非常に喜ばしい事として捉えられているが、これを展開することになると、実際に実施する学校現場では検討を要する事項が数多く考えられるようになってくる。

まず、剣道具整備の件である。何を(面・小手・胴・垂・竹刀・木刀・剣道着・袴・面頭巾・小手下・名札など)何組揃えれば良いのか。その保管場所、方法はどうするのか。指導については、素人(体育指導教諭:他種目専門)にどこまでをどのような方法で展開していけば良いのか。さらに安全の確保(剣道具の修理・点検など)にも配慮しなければならないのである。

履修することによって、武道(剣道)嫌いな青少年にだけはなって欲しくない。打ち合いが終った後、面を外したときの爽快感。正座・黙想時の集中力。さらには木刀で素振りをする時の研ぎ澄まされた気持ち等。「心」の浄化を体験することによって、一人でも多くの剣道サポーターが増えることを期待している。

学校剣道関係者だけに限らず、剣道界が今後の推移に注目して、その普及発展に繋がるきっかけにしていく事がなにより大事になってくる。

試合が多くなってきた昨今の武道(剣道)界は、「格闘技」としてのとらえ方が強くなり過ぎて、相手を”叩きのめす””やっつける”そこには”容赦なく”という気持ちまで生じながら戦う姿勢が求められるようになってきている。

本来武道(剣道)とは「護身術」であった筈である。武士社会の中で、自分の人生をより良く生き長らえるために磨き上げてきた術である。護身のための芸術である。そこには、自己の全身全霊を傾注して作り上げてきた武士としての矜恃がなければならない。

我々剣道の指導に携わる立場にある者の、責任を痛感する次第である。